自分が子供のころに読んでいた絵本、大人になって改めて読むと新鮮な気づきがありますよね。
今回はそんな絵本を紹介します。
『あしたのあさは星の上』ってどんな本?
『あしたのあさは星の上』は、1967年に出版されました。仮面ライダーやサイボーグ009で知られる漫画家・石ノ森章太郎が描いた児童書になります。
SFのような不思議な要素もあり、その裏には社会的メッセージも込められていて、親子で一緒に楽しめる一冊になっています。
- 著者:石ノ森章太郎
- 出版社:Pヴァイン・ブックス(復刻版)
- 発行年月日:2017年3月(1967年初版の復刻)
あらすじ
物語の舞台は、太陽の大爆発に巻きこまれる危機に直面した地球。
みんなからは変わり者と笑われている「チョコレートじいや」と、彼をしたう「ぼうや」との交流を中心に物語は進んでいきます。
じいやの語る不思議で面白い話を聞くうちに、やがて現実の地球が危機に向かっていき、ついには太陽が爆発する瞬間を迎えてしまいます。
極限の状況の中で、人々はどんな選択をし、どんな行動を取るのか。
黒人のじいやと白人のぼうや、宇宙人と人間、UFOや宇宙のイメージ…。
さまざまなモチーフが織り交ぜられ、表面的なSFにとどまらず、社会へのメッセージが込められた物語になっています。
感想(親目線・子どもの反応)
大人が読むとわかるメッセージ性
この本を大人になって読むと、非常にメッセージ性が強いことに気づかされます。
黒人と白人の人種差や、黒人がかつて白人の家で奴隷として従事していたことなど、過去の差別の悲しさを感じさせる描写があります。
しかし、チョコレートじいやとぼっちゃんの交流を通して、そうした状況にも救いが描かれています。
親の視点から
- “古き良きSF絵本”の趣があって、石ノ森らしさを感じました。
- テーマが深いので、おとなもじっくり考えながら読めます。
- 世界観が壮大なので、読み聞かせというより一緒に「物語を味わう」ような感覚になる本だなと感じました。
子どもの反応
- 「チョコレートじいや」の話は、子どもにとっても魅力的に映ったようです。
- へんてこな宇宙人の登場に、新鮮さや面白さを感じていました。
- 挿絵が子どもの想像力を掻き立て、興味を引きつけていました。
この本の魅力・おすすめポイント
- テーマ性が濃い:人種・差別・多様性・絆といったテーマを、児童向けに落とし込みながら語るところが珍しい。
- SF × 社会性の融合:太陽爆発・宇宙人といったSF要素を用いながら、ただのファンタジーに逃げず、現実の問題に向き合っている。
- 読み応えがある:簡単な読み物ではなく、考えさせられる“本”として親も子どもも向き合える。
- レア感・話題性:石ノ森章太郎の子ども向け読物という点で珍しさがあり、記事やレビューに書くと読者の興味を引きやすい。
まとめ
単なる絵本や読み物を超え、親子で一緒に考えを共有できる1冊だと思います。
特に、普段の「楽しさ重視」の絵本とは少し違った方向で、“考える時間”を子どもに与えたいと思っている方には、ぜひおすすめです。
また、装丁も大変丁寧で、作者や出版社のこだわりが感じられる作りになっています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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